家つくるひと。設計②

野口 高司
NOGUCHI TAKASHI 設計

設計とはどんな仕事ですか?

お客さんの希望をお聞きして、図面として作っていく、というところが一番わかりやすい部分ですね。

 

「こういう風にしたい」とか「どういう生活をしたい」というところをメインで聴くようにはしています。

間取りというと、皆さんどうしてもパズルみたいに考えてしまう傾向があります。
でも、「どういう風に生活したいのか」というところから「部屋同士の位置関係はどうすれば良いかな」を導き出すという考え方が大事。

 

建物は「つくって終わり」ではありません。「完成した家で住む」というのがメインになるはずです。
なので、どういうふうに暮らしてもらえるのか、ということが一番大切だなと思って、間取りを決めたり図面を書いたりしています。

 

そのためには、お客さんの要望はもちろんお聞きしますが、僕らが持っている知識や技術、アイデアもプラスしてあげることで、より長く良い状態で使ってもらえると思っています。
僕らの持っている力を最大限に発揮させてもらい、より良いものをつくっていきたいという想いで設計をさせてもらっています。

 

 

どうしてこの仕事に就いたのですか?

高校1年生の時から「どんな進路に進みますか?」と聞かれ始めて。

 

その時に得意だった事が建築とは別にあったのですが、それが仕事になると考えたとき、将来的なワクワク感やイメージがあまりありませんでした。

 

色々と考えていた時に、ふと思い出したのが、『私のお父さんは地図に残る仕事をしています。』というCMのフレーズでした。
1988年に瀬戸大橋が開通したときの大成建設のCMです。

 

そのフレーズがとても印象的で、「ああ、形に残る仕事っていうのはすごくいいなぁ」と思いました。

 

ですが大成建設の瀬戸大橋というのは「橋」なので、すごく規模が大きく、僕自身の暮らしに橋というのはあまり馴染みがなかったので、「橋は違うなぁ」と。

 

一方で、当時、住宅が1,000棟以上あるような住宅地に住んでいたので、一戸建にはすごく馴染みがありました。
友達の家に行っても1軒ずつ家が違いましたし、自分の家も一戸建て。
そこで、「地図に残り、身近に感じられる」、というところから、建築を目指しました。

 

 

なぜ「設計」を選んだのですか?

設計というのは何もないところから、1からつくる、というものだと思います。

 

現場監督とか大工さんは、図面があって、それを最大限つくるという仕事ですが、設計は何もないところからつくる。

「何もないところからつくる」、というのは小学生の頃からずっと続けていた事でもありました。
プログラムを書いてパソコン上で動かしたり、そういう事をずっと楽しんできていたので、仕事でも何かを作り出す、ゼロベースのところからイメージする事をやりたいな、と思っていました。

 

 

設計をするうえで気を付けていることは?

一番最初の話にも通じるところがありますが、お客さんの本当に満たしたいものは何なのか、をしっかり聴けているのかな?ということは、難しいところです。

 

「例えば和室がほしい」という話が出たとして、和室そのものが欲しいのではなく、何かをしたいから和室……と言っている、ということがあります。

 

お客さんの言葉の奥にある「これがしたい」という想いを聴き取ることが、難しく、だからこそ丁寧に掘り下げていきたいと思っています。

 

もしかしたら和室ではなく、他の方法や、もっと良い提案ができるかもしれない、と思うので。

 

和室だとわかりやすいですが、それ以外のすべてのことについても、「何がやりたくてそれが欲しいんだろうな」と紐解いていくことが一番大切。
そこが難しくもあり、気を付けているところです。

 

 

あとは、家というのは今日の明日にはできません。相談したり決めたりすることが沢山あるので、打合せには何週間もかかります。
回数を重ねて、お客さんと様々なことを決めていくのですが、そうすると、最初にイメージしていた事少しずつずれてきてしまうケースがあります。

 

僕はそれにすごく気を付けています。
お客さんがやりたい事が何なのかをしっかりと意識して、そこからちょっとズレた時は「それだとちょっとズレてますよ」というような話をさせてもらっていますね。

 

もしくはお客さんから「これって合いますかね?」と聞かれたときには全体をイメージして、「それなら大丈夫ですよ」とお話をさせてもらったり。

 

1つ1つのこだわりは皆さんお持ちだと思いますが、家として全体を見たときに、「トータルで完成しているかな」というところは、僕がすごく気を付けているポイントになりますね。

 

 

仕事をするうえで大切だと思うことは?

住宅に限らず全てのことに共通することなのかもしれませんが……。

 

設計の仕事は、お客さんと話をさせてもらって、プランニングをすることです。
でもお客さんと僕らだけでは家はつくれません。
その先には、大工さんや電気屋さん、いろいろな職人さんたちがいて、多くの人がそこに携わって、力を合わせてつくりあげます。

 

設計して、図面を書いておしまい、ではなくて。
現地に家が出来て、そこに住んでもらって、楽しく暮らしてもらう、というところがやっぱりゴールだと思います。

 

そのゴールにたどり着くには、1人ではできないですし、大工さん、電気屋さん、水道屋さん、いろんな職人さんから助けてもらって完成させていくと思いますので。

 

みんなで力を合わせてやっていく、というのがすごく大切かなと思いますね。

 

 

図面を書くときは、「この方法が一番良いよね」という形で書くのですが、やはり現地でつくってくれている大工さんや水道屋さんから「ここってどうしたらいい?」とか「これってこっちでもいいのかなぁ」っと連絡をもらうことがあります。

 

やはり、現地で実際にかたちをつくり始めたときに、一番良い形でつくられるのが理想だと思うので、より良い策を職人さんからいただいたり、現場監督から連絡をもらったりしますね。

 

もちろん見に行った時に「こっちの方が良いな」と思えば、こちらから大工さん達にお願いをすることもあります。

 

「図面に書いてあるからその通りやる」ではなく、その時その時で、気づきなどがあれば最大限に反映して、より良いものをつくっていくことが一番大切ですよね。

 

 

共感住宅レイアウトはどんな会社ですか?

共感住宅レイアウトは、みんな、1つずつの事に本気になってやっている会社だなと感じています。

 

図面を書いて皆にみてもらったときでも、違和感のあることはちゃんと伝えてくれる。

 

そして、それが「こちら側の意図としてこういうふうなんだよ」「ああ、じゃあ良いね」となる場合もあれば、「それでもまだちょっと違和感があるな」ということもあります。

 

みんながその1軒ずつを本気になっているから、そういうふうに意見を出し合えるのかなと思いますね。

 

先ほどの職人さんの話も一緒なのかもしれないですが、みんなが本気になってやる、図面だけでもなく現地だけでもなく、出来上がるものをみんな本気になってつくっていく、というのが、共感住宅レイアウトという会社かなと感じています。

 

 

これまでつくった家で好きなデザインは?

お客さん1人ひとりに合わせてつくらせてもらっているので、「何々風」とか「こういう感じが好き」っていうのはあんまりないんですけど……。

 

「玄関までの段差がゼロ、しかもスロープもない状態でつくれる」という時がたまにあります。

 

これは土地の条件がすごく限られてくるので、たまたまそういう土地に出会えたときにご提案させてもらいます。
そういうときはマニアックなレアものを手に入れたような気持ちですね。

 

今までだと、3軒、そういうお家があるのかなと思いますが。

 

ただ、別に段差ゼロでなかったとしても、将来的にはスロープをつけられるようなプランニングを常にさせてもらってはいます。

 

ただ、段差ゼロのプランニングができるときは、「ああなんか珍しいところに当たったな」みたいなふうに感じます。

 

 

今はまっていることは何ですか?

「はまっている」という言い方が正しいのか分からないですが、「どういう風にしたら綺麗に掃除ができるかな?」といろんなことを試しています。

 

お風呂とかキッチンとかいろんな所がありますが、特に最近、気になってやっているのはステンレスの部分です。
キッチンのシンクが水でちょっと白くなってきたりするので、どうすれば綺麗になるかなぁって。

 

シンクもいろいろな種類がありますが、ウチの場合だとエンボスになっているので、そのエンボスの所をどうしたら綺麗になるのかな、といろいろ試していて。
今のところはまだ成功してないんですけど。

 

それが綺麗になれば、エンボスのシンクを使っているお客さんたちにも「こういうふうにやったら綺麗になるよ」と伝えられます。
逆に、お客さんのところに伺ったときに教えてもらった方法を試すこともありますね。

床も、試しに雑巾を使ってみたらクイックルワイパーをかけた後なのに真っ黒になったりとか、そういう発見もあります。
掃除方法によって「綺麗にしてるつもりだけど実際は綺麗になってない」ということもあるのかなぁと思って、いろんな所を試しています。

 

 

考え方に影響を与えた言葉は?

I can’t see the forest for the treesという、直訳すると「木を見ず森を見よ」という言葉です。

 

細かいところももちろん大切ですが、全体を通して見たときに、それがちゃんと正しいのかどうか。
どうしても、集中すると細かいところに目線が行きがちですが、最終的にはやはり全体で出来上がってくると思うので。

 

設計というポジションもそうですが、最終的には出来上がったものがどうなのかな、と広い視野で見たいですし。

 

お客さんのお話を聞く時でも、11つの細かいことを聞きはしますが、全体にそれがどう影響を与えてくるんだろう、と。
そういう考え方に影響を与えていますね。

 

 

家づくりを始める方へお伝えしたいことは?

最近はInstagramや youtube 、ホームページと、色んなところから情報を手に入れることができますが、それによって逆に迷われている方が多いのかなぁと感じてます。

 

いろいろなものの話やいろんな情報が沢山ありますが、でも一番は「自分たちがどうしたいのか」「どういう生活をしたいのかなー」というところだと思うので。

 

まずは「自分たちがどういう暮らしをしたいのかな」「家が出来たら、こういう暮らししたいなぁ」とか「こういうふうに楽しみたいなぁ」と考えてみる。
そして、それがどういう家づくりなのか、ご家族の家づくりがどういうのが目的なのか、というのをしっかりと考えていただきたいです。

 

「いろいろな情報はあるけど、私たちの家づくりはこれなんだよ」と考えていただければ、迷うことも少し少なくなるのでは、と感じますので。

 

自分たちがやりたい家づくりがどんなものなんだろう、と考えて、そこから自分たちに合ったものを選んで頂ければいいんじゃないかな、と思います。

 

 

設計の
野口 高司 でした。

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